IMAGE

「支援付き共生すまい山吹」創設運営事業~空きペンションのイノベーション~

事業・評価の概要

  • 写真
  • 写真
プロジェクト名称 「支援付き共生すまい山吹」創設運営事業~空きペンションのイノベーション~
代表提案者 一般社団法人だんだん会
共同提案者 八ヶ岳根っこの会
対象地域 山梨県北杜市
選定年度 2018年度
事業タイプ
事業概要

 訪問看護等に実績を持つ代表提案者らで構成された一般社団法人が、別荘地において、空きペンションを住民主体型サロン、見守りつき住宅、重度者ケアハウスを備えた支援付き共生型住宅を整備。本事業内容のニーズ及び顧客満足度等の検証を行う。

概要資料 概要資料(PDF)

評価概要(評価委員会での評価)

 在宅看護・介護や認知症ケアに先進的に取り組んできた提案者が、元ペンションを地域での看取りも可能となる見守り住宅等として福祉的に活用する取り組み。近年の移住ブーム及び推進の動きを背景として、都市近郊の別荘地などの問題を的確に捉えた現実的な提案をしている点や、首都圏の多様な高齢期のライフスタイルを支えるモデルになりえる点を評価した。

備考

フォローアップ調査報告書(令和元年12月11日実施)(PDF)

※事業概要や評価概要等は選定時の内容であり、実際と異なる場合があります。

事業のフォローアップ

(1)取り組みの背景
  • 高原観光地として発展してきた山梨県北杜市では、ペンションの閉鎖・売却により空き家が多くある。一方、首都圏からの移住のニーズも多いが、人生の最終期までこの地域で住み続けるために必要なサービスや住まいは必ずしも多くあるとはいえない。特に医療ニーズの高い方、要介護者のショートステイ等の受け皿が少ない。
  • 「地域の人びとが自分らしい暮らしの最期を迎える上で、地域に不足する介護関連サービスの構築」を目指すため、2016年1月一般社団法人だんだん会を設立。これまでも自立支援中心の認知症グループホームの開設や定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業所を展開してきた。
  • 2019年2月末、これまでの北杜市で高齢者が住み続けるための取組の一環として、空きペンションを改修し、高齢者が在宅で元気な時期から終末期まで、住み慣れた地域で住み続けるための多機能型シェアハウスを創設。
(2)取り組み内容

1.支援付き共生住まい山吹「わがままハウス山吹」
1)既存建物改修した「わがままハウス」の整備

  •  既存のペンションを改修した多機能型シェアハウスを整備。
  • 大きな間取り変更はせず、元のペンションの良い所を最大限に活かし、新築にはない味のある空間を生み出すことができた。
  • 入居募集要件には、年齢、要介護認定、病気の種類、住民票の有無、家具の持ち込み、ADLの状態、入居世帯数等、制約は設けていない。
  • 「高齢者が自宅で、ひとりで住むのが不安であるならば、皆で集まって、支え合って暮らせればよい。また入居者も事業者も皆でわがままを言いながら暮らせる住まいが出来ればよい。」がコンセプト。

 

2)入居者の日常生活そのものをサポートする「寄り添いサービス」

  • 「わがままハウス山吹」の創設にあわせて編み出した新しいサービス。
  • 介護サービスではなく、高齢者の身近で生活そのものをサポートするサービス。
  • 介護職でない、一般市民である「寄り添いスタッフ」によるサービス提供。
  • 共同提案者の住民組織「八ヶ岳根っこの会」にはスタッフとしても手伝ってもらいながら、環境整備、人とのコミュニケーション等、オールマイティに仕事ができる人が担当。

3)地域の介護・医療サービスの利用

  • 入居者が介護や医療が必要になった際、外から介護・医療サービスが提供される仕組みの構築。
  • 定期的な「住みよい共生すまいづくり地域会議」開催による地域との連携
  • 定期巡回随時対応型訪問介護看護「てくてく24」の利用
  • 医師紹介、看護師や理学療法士の訪問等


2.サロン「わたしの茶の間山吹」(住民主体型サロン)

  • 「わがままハウス山吹」の1階のサロンスペースで、共同提案者「八ヶ岳根っこの会」が中心になり、サロン活動「わたしの茶の間山吹」を開催。
  • 市民ボランティアの協力による「オレンジサロン(認知症カフェ)」も開催。
(3)取り組みの成果

1.入居状況
1)内覧会の来客状況

  • 「わがままハウス山吹」開設前から行った内覧会の来客者は約200名。内、入居検討を目的に来られた方は34名

2)入居者属性

  • 2019年12月現在、入居者は合計総数21名、11室満室。入居者の約7割が北杜市民

 

2.提案時には想定していなかったが、事業実施し発見・把握できたこと

  • 当初の想定以上に、「高齢者が住み替えてくる」のはハードルが高いことが認識できた。
  • 入居されなかった人の意見を聞くと「夜間常駐スタッフがいないこと」に不安を感じる方が多い。

 

3.自治体との連携状況

  • 提案の早いうちから市とも話をし理解してもらった。住まいに関して、ひとつでも選択肢が増えることで利用できる方がいることが良いことと評価してもらった。

 

4.事業効果等の情報発信の状況

  • ホームページ、当法人の定期刊行物「だんだん便り」で公開。
  • 看護協会の機関誌等に様々な補助事業の成果を発表。
  • 開設から1年経過したので、シンポジウムや講演会で成果を発表し、報告書の作成も行う予定。
(4)今後の取り組みの方向性・課題
  • 地方都市での新しい高齢者の住まいの新しい選択肢づくり

  • 「高齢者の住まいの選択肢が少ない」ことは、地方都市では切迫した問題である。新しい選択肢が増えることに期待している。

 

  • 今後の多様な高齢期のライフスタイルを支える高齢者向け住まいづくり
  • 「わがままハウス山吹」よりワングレード高い建物をつくってほしいとのニーズがある。建物的にはサービス付き高齢者向け住宅のようなものかもしれない。
  • サービスとしては、「わがままハウス山吹」のような「寄り添いサービス」があると良いという意見が複数ある。高齢者と他の人を繋ぐ役割や、苦情を聞いてくれる人的サービスが求められているのである。
  • これまで介護保険や住宅施策で講じられてきた内容は、高齢者の生存の保障に過ぎなく、もう少し本人の人間性にかかわる内容が求められていると思う。
(5)配置図、平面図等

配置図・平面図等 配置図・平面図等一式(PDF)

(6)建物諸元等

【住宅・施設の形態】 住宅
【敷地面積】1,653.77㎡
【延床面積】 398.87㎡
【構造・階数】木造地上2階建て
【住戸面積・住戸数】9.93㎡~20.7㎡ 11戸
【住戸内設備】水道(手洗い)
【共同利用設備】居間兼食堂、台所、浴室、洗面所(3カ所)、トイレ5か所、
        エレベーター、多目的ホール(プレイルーム)、事務室、スプリンクラー
【管理開始年月日】2019年3月
【家賃】 1か月 50,000~100,000円
【管理費】1か月 30,000円
【サービス費】寄り添いサービス料として、1か月 50,000円
【食費】一日 1,500円
【入居状況】11室満室/入居者総数21名(インタビュー当時)
【平均年齢】70歳代~90歳代 平均年齢:約85歳
【平均要介護度】
【スタッフ体制】8:00~20:00 2名体制

(7)事業者からひとこと

「わがままハウス山吹」の取組が、今後の多様な高齢期のライフスタイルを支える住まいのモデルのひとつになればよいと考える。

備考

*上記①~⑥の調査時点(FU調査):令和元年12月11日

Copyright © 2020 人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業 All Rights Reserved.