「高齢者の役割と生きがいを創造する」生活支援モール米沢駅前

• 市では、要介護認定者数の急増と介護度の重度化が課題。また要支援認定者や認定前の高齢者が、社会との接点を通して「役割と生きがい」を持ち続ける場が身近にない。
• 現在の高齢者向け住宅の多くは「終の棲家」として存在しており、自立生活が継続でき、加齢と共に必要な支援を受け続けられる「我が家」としての住まいの選択肢がない。
• 一般的な介護施設は女性の利用比率が高い上、男性は一人で過ごすことが多く、男性が参加したくなるようなサービス提供の場がない。
• 豪雪・郊外型店舗配置の中小都市では車がなければ生活が成り立たず、車の運転ができなくなる高齢者にとって社会との接点を閉ざされる要因となっている。

• 駅前の生活利便性の高い立地で、サービス付き高齢者向け住宅と共にデイサービス、健康増進施設等の施設・サービスを提供し、役割と生きがいを持った高齢者の生活を支援。

＜ハード面の取組＞

• サービス付き高齢者向け住宅「シニアマンション リブウェル」（38戸）：住戸面積30m2・45m2。共用部分を広くとり、自分に合った住まいとしての質を確保。
• 自立支援型デイサービス「スマート倶楽部」、居宅介護支援事業所、訪問介護事業所
• ホットヨガ＆メディカルフィットネス「ジル米沢」

＜ソフト面の取組＞

• 「リブウェル」：入居者の希望や特徴を尊重したイベント（例：花火鑑賞会＆カクテルバー）を開催。それらをより高い質で提供するため、入居者懇談会を定期的に開催。
• 「スマート倶楽部」：完全選択制のサークル活動として、カゴやバッグ制作、麻雀、将棋などのボードゲーム、書道、グランドゴルフ等の数ある活動の中からそれぞれやりたい活動を選択し、共通の趣味・関心を持つメンバーと共に活動に取り組む。また、利用者にスタッフとして調理販売などを担ってもらうイベント（スマート倶楽部祭り）を開催。
• 「ジル米沢」：一般向け施設であるが、地域の健康増進と長い目で見た介護予防を目指し、市の委託による糖尿病予防のための運動コースを開催したり、「リブウェル」「スマート倶楽部」との連携も行う。

• 「リブウェル」入居者のうち介護保険利用者は4分の1〜3分の1であり、多くは自立した元気な高齢者。就労している高齢者もあり、併設するデイサービスで働く方もいる。
• 「スマート倶楽部」の自主的な活動や利用者主導でのイベント運営などにより、利用者の活動意欲の高まりや満足感が得られている。利用者の自立度の変化を見ると、80・90代では自立度の維持が多いが、70代では20％強に自立度の改善がみられた（スマートライフ独自調査）。
• 「リブウェル」入居者が「ジル米沢」や「スマート倶楽部」を利用したり、「ジル米沢」スタッフが「リブウェル」や「スマート倶楽部」で体操を実施するなど事業者間が連携し、スタッフ同士の連携や情報の共有も迅速かつ正確に行うことができる。

• 「リブウェル」入居者に自治会の形成を促し、入居者に地域社会と繋がり、役割を持ってもらうようにしたい。その結果、「リブウェル」が１つの町内のようになり、入居者同士の助け合いが進むといい。
• 「スマート倶楽部」では自立を勝ち取るためのサービスを提供しているが、今後、「スマート倶楽部」卒業後や利用日以外の日常での社会との繋がり、そこから得られる役割・生きがいの提供を考えていきたい。
• 当初、多世代交流も視野に入れて計画していた子育て支援施設は、学童の減少などを背景に行政との調整が難しく、まだ開設に至っていない。

配置図・平面図等一式（PDF）

「シニアマンション　リブウェル」　基本データ
【住宅・施設の形態】 サービス付き高齢者向け住宅
【敷地面積】 1,292.59m2
【延床面積】 2,396.04m2
【構造・階数】 鉄筋コンクリート造　8階
【住戸面積・住戸数】 29.83m2～46.60m2　　38戸
【住戸内設備】 　完備
【共同利用設備】 食堂　1階南東部
【管理開始年月日】　平成28年6月
【家賃】 79,000～124,000円
【管理費】 20,000円～30,000円
【サービス費】 30,000円～45,000円
【食費】 45,000円
【入居状況】　満室　37室/38室（インタビュー当時）
【平均年齢】 　82.8歳
【平均要介護度】　0.89
【スタッフ体制】　管理者1名、介護福祉士（相談員）3名、その他4名

• フォローアップ調査の報告書（PDF）
• 検証報告（PDF）