日本型ケアファーム普及のための地域・多世代交流の環境整備モデル事業

　我が国における高齢者の住まいは、本人の身体状態と支払い費用によって住まいが決められる場合も多く、「生きがい」の視点が不足している。障害者の就労についても、就労意欲の継続のために「生きがい」が必要である。一方、地域においては、交流が希薄化しており、多世代交流による暮らしやすいまちづくりが求められている。

　本提案は、欧州で近年増加しているケアファーム（農園付き福祉施設）を我が国の制度に合わせて試行し、全国で普及させることを目的としている。高齢者住宅に併設した農園を、障害者の就労場所や地域住民の利用する市民農園としても開放し、ケアファームを介した多世代の地域コミュニティを創出すべく、アプリケーションを利用した交流促進の検証を行う。この検証結果も踏まえつつ、オランダ農業介護連盟のハンドブックをもとに運営マニュアルを作成し、日本型ケアファームの普及に役立てる。

概要資料（PDF）

　高齢者の生きがい維持のためにケアファームの検証を行う点は評価でき、今後のモデルづくりに期待が持てる。また、近郊農業の継続性について、宅地化や耕作放棄ではない形のヒントを与えうる点においても興味深い提案である。

　ただし、本提案テーマを踏まえ、モデル性を有する「住まい」としてどのような居住環境をつくるのかという課題については、より具体的な検討が望まれる。